左利き専用レフティギター専門店の誕生秘話!?谷口楽器インタビュー(後編)




レフティ(左利き)ギター専門店の誕生秘話!?谷口楽器インタビュー

インタビュアー:Taisuke Yagi

 

左利きな人々へのインタビュー『ヒダリキックインタビュー』。
第2回となる今回は全国的にも有名な左利きギターの専門店、谷口楽器さんへのインタビュー。

後半となる今回は、来店されるお客様や商品を含めた店舗の現状、そしてお店として今後目指していく部分についての内容をお聞きしました。

インタビュー前半はこちら

 

レフティ(左利き)ギター専門店の誕生秘話!?谷口楽器インタビュー

 

-ちなみに何年くらい左利き楽器店としてやられているんですか?

 

レフティ(左利き)ギター専門店の誕生秘話!?谷口楽器インタビュー

河津:うち楽器屋としては古いんですよ。

当時は売り場が今のようなビルの3階ではなくて1階だったんですね。 1階で普通の楽器屋を続けていて、それが店自体は70年くらいになるんじゃないですかね。 たぶんこの御茶ノ水界隈では一番古いと思うんですよ、うちの店が。

左にしたのは今から15年弱前ですね。 さきほどお話しした左利き用を店の奥の方に置きはじめた時からですね。 13年から15年ほど前だと思います。

最初は左の売り場は一部だったんですけど、そのうち左のお客さんが多くなってきて右のものを浸食してきたわけですよ。

商品も左利き用が多くなって、それで右がおけなくなってきて。

 

それで右用よりも左利きのほうが動くかなって我々も思ってきた部分もあって。 雑誌広告などを実施してそれでも左を始めて1年ちょいくらいでそんな風になってきたかなあ。

もともと左は売れるのかと言われてたこともあったけど、もともと最初はこちらも上乗せのつもりでだったので。

ただそのわりにはお客さんもついてくれてだんだん商品が動くようになってきて、 我々自身も思いのほかに左のお客さんもいるんだなとそのあたりで思いはじめたところでしたね。

 

レフティーギターのしおり

谷口楽器では左利きのギターの教本として
「レフティギターの栞」というフリーペーパーを発行している。

 

 

-左利きの人の人口は全体の10%と言われていますが、そのあたりは実感値としていかがですか?

 

河津:だいだいそのくらいではないかなと思ってたんですよ。

ただ10%の左利きの人の中で、その方々が全部ギターをやる訳ではないから。 左利きでも右で弾いちゃう人なんかもいるし。

特に昔の人なんかは楽器もないからそういう人も多いんですよね。 左利き用で始めるってことも少なかったから。

 

 

-松崎しげるさんなども左利きですよね。

 

河津:あのかたは左利きですけども弦は右張りなんですよ。 よくうちにも来ますけどね。

もともとは右利きのギターを左で弾くわけですよね。 今でもそうだから、左のギターを買われても右張りに直すわけです。

 

 

-ちょっと特殊な張り方をされているんですよね。

 

河津:そうですね。

ただ見てもわからないですね。逆張りだってわからないです。 すんごいうまいんだもん(笑)

そういう意味ではあのかたは少し特殊ですよね。

 

 

-お店にいらっしゃるお客様の中で左利き独特の特徴などはありますか?

 

河津:これは正直わからないですね。

ただ、特徴というわけではないんですが、ギターを右で始められて左に変えられるかたは結構いますね。

とりあえず右で始めて、何年か続けるんですけど、どうもストロークやピッキング(※2)が動かない。 利き腕じゃないとこれは動かないんです。 弦を抑えるのは利き腕じゃなくてもなんとかなるんですけど。 ただ弦を弾く方のうでが動かないと言われますね。

どうしても頭の中でわかってても、手が思うようにうごいてくれないとかね。手が遅れがちになるとか。

レフティ(左利き)ギター専門店の誕生秘話!?谷口楽器インタビュー

そういう意味で左利きだけど最初は右で始められたというかたが結構いらっしゃいますね。

うちで別にギターを左にしろとは言わないんですが、お客様がそうしたいのであれば、 もともと左利きなので、覚えるのも早いと思うので。

たしかに左のものっていうのはなかったからね。

最近はネットで見てね、電話での問い合わせで「本当にこんなにあるんですか」って訊かれるんです。

で、実際にお店にくると、びっくりされますね。

どこにいっても取り寄せだとかあっても1本、2本だからですからね。

取り寄せちゃうと「買わないと悪いから」みたいなのもあってなかなか取り寄せてくれとは言いづらいですしね。

それと商品に関していうとメーカーのカタログにも出てないですしね。 結構な種類がうちのオーダーですから。

だから他の店で訊いても「こんな機種はないですよと」言われるので、 本当に置いてあるのか疑問になるのかも知れないですね。

 

 

 

-時々楽器屋さんにいくとアニメの影響(※3)らしきものを見かけるんですがそういったところでの実感などはありますか?

 

河津:けいおんね(笑)ジャズベースでも定番のサンバーストって色なんだけど。

正直僕らはあれが売れはじめた時はわからなかったんですね。 というかメーカーさんもわからなかったらしいんですね。

他のお店からもメーカー宛に「なんでこんなにスタンダードジャズベースのサンバーストが売れるんだ」って問い合わせがあったらしくて。 それでわかったんだけれども。

結構楽器を普段購入しない人は左というのはどこでもあると思うみたいなんですね。 うち3階でしょ。

そういう意味だとうちはあんまり影響はなかったです。 もともとメーカーで在庫数が限られているのと、その在庫をうちが抑えているわけではないというのもあって。 ちなみに今はブームが収まったからか在庫はありますけど(笑)

 

 

 

-現在の店舗にある本数をおしえていただいてもよろしいですか?

 

河津:本数的なものを言えば500じゃきかないと思います。種類じゃなく本数でいうと。

ようするに店頭に出てるのは1本しかないですけど、ロットで生産をうちから発注する時に例えば6本作ったら店舗には1本だけ置いて、 残りはメーカーさんに保管してもらってるんですよ。

店頭には置ききれないので店頭には売れてから補充してます。 そういう意味での本数は500本ではきかないですね。

 

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店内に並ぶ左利きギター、ベースは谷口楽器の在庫のほんの一部だという。

 

谷口楽器ブルースハープ

機種によってはハーモニカにも左利き用があるとのこと。

 

 

-店舗でスタッフのかたで左利きのかたはいらっしゃるんですか?

 

河津:はい。レフティギター売り場の井関は左利きです。

 

 

-では左利きでもある井関さんにご質問なのですが、影響の強い左利きのミュージシャンのかたなどはいらっしゃいますか?

 

井関:実は意外と左のミュージシャンて少ないんですよね(笑) 本当はたくさん名前を上げられるとよいんですけど。

影響力が大きいという意味ではやはりポールマッカートニー、ジミ・ヘンドリクスですね。

カートコバーンなんかもシグネイチャーモデル(※4)があったりして人気がありますが、 やはり影響力という意味ではポールマッカートニー、ジミ・ヘンドリクスが有名ですね。

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井関さんと愛用の左利きモデルのギブソン75年製レスポールカスタム

 

 

-店の今後展望や目標みたいなものは何かありますか?

河津:もうここまで来ちゃうと左で押し通すしかないんで(笑)

多くの左利きのかたに店に来てくださいっていうのが一番いいんだと思うんですけど 地方の人、特に北海道や九州の方などは来てくださいっていってもね、 なかなか難しいと思うので。

ある程度知名度は出てきましたけどまだまだ知られていないというのがありますからね。

商品をネットへの掲載もしていますし、地方のかたなどにも人づてでもいいから広がっていってくれればと思いますけどね。

 

 

-左利きの方の生活というのは不便な部分や左利きゆえに成約される部分もあるかと思うんですが、その辺りについてはいかがですか?

 

河津:そうですね、ほかの店であれば右利き用のギターが主流なので、「ギターは両手で弾くものなので、 右利きでも大丈夫だ」というような売りかたをすることもあると思うんです。

ただ、ある程度楽器もメーカーさんが出してきてくれたので、 左利きのお客さんも左利きであることで選択肢が狭まるのではなく、 お客さん自身に選択を任せてあげられるようにはしたいです。

まあ、どうしてもまだ種類は右に対しては少ないですけどね。

◯プロフィール

谷口楽器

谷口楽器
楽器屋がひしめき合う街、東京の御茶ノ水にある左利き楽器店。別名「レフティタニグチ」。

ウェブサイト

スタッフ

谷口楽器河津店長

河津店長

谷口楽器の店長。もともと普通の楽器店だった同店を「左利き楽器店」としてシフトした。
ご自身は右利き。

谷口楽器井関さん

井関さん

谷口楽器のギター売り場を担当。
左利き。ご自身もレフティモデルのギターを愛用している。

※2:弦を弾く方の手の動作で、コードを演奏するほか、単弦でのアルペジオやギターソロ等繊細な動きを必要とする。
※3:女子校生バンドによる軽音部をテーマにしたアニメ。作品の人気に伴い、作中の登場人物の使用する楽器やヘッドホンなどで完売、品切が起こった。
※4:通常のラインナップとは違い、有名ギタリストの使用モデルを再現したモデルのこと。
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